八ヶ岳Work&Life

自分の仕事が自分の暮らす「まち」を変えていく、それが地方で働く魅力だと思います。

久村周一さん

2016年4月入社

移住しても仕事は妥協したくない

「東京でしていた仕事も好きだったので、移住してからもやり甲斐ある仕事がしたかったんです。そこは妥協したくなかったんですよね。結果として、移住に際して出会った今の会社はすごく面白くて、おかげで仕事も暮らしも充実しています」

そう話すのは、2016年に長野県茅野市に移住した久村周一さん。「元気なまち」を企業理念に、店舗・オフィスなどの設計・施工や、飲食店・物販店の運営も行う会社・イマージで働いています。

移住のきっかけは2011年の東日本大震災でした。インフラや物流が滞って麻痺する都会に「暮らし自体の危機だ」と感じた久村さんは、生き方を変えることを決め、生まれ育った東京を離れる決意をします。

暮らす場所を変えることに不安はなかったという久村さんでしたが、ハードルになったのは仕事探しでした。最初は『そもそも地方に東京で生まれ育ったサラリーマンの転職を受け入れてくれる職場なんてあるの?』というイメージだったという久村さんは、どのように今の仕事に出会ったのでしょうか?

建物をつくるんじゃなく、『まち』をつくっている会社

ずっと東京で生まれ育った久村さんにとって、地方での仕事探しは手探り状態。探し方もわからないし、少し探しただけではピンと来る仕事も見つからない。最初は焦るばかりだったといいます。

「最初はハローワークなどを見ていたんですが、なかなか惹かれる求人がなかった。そうこうするうちに2人目の子どもが生まれたんです。そこでいよいよ移住しなきゃと本腰を入れて仕事を探しはじめました」(久村さん)

そうして見はじめたのは、実際に転職した人や経営者のインタビューを載せている求人サイトでした。

「仕事って、条件だけで決まるものじゃないなって思ったんです。働く環境とかどういう同僚がいるのかとか、経営者がどんな想いでやっているかっていうのがわかってくると、その会社が自分に合うかどうか少し明確になってくる。いろんなインタビューを見ることでようやくイメージが膨らんできたんです」(久村さん)

そうした求人サイトを探す中、長野県が主催する東京での転職相談会を見つけ参加することになった久村さん。そこで今の職場・イマージを紹介されます。当時のイマージは飲食店や宿泊施設などの店舗をメインに設計・施工し、同時に駅前の飲食店や物販店も何店舗か運営する会社でした。

「面白いと思ったのは単なる建築会社じゃなくて、まちづくりの会社なんだというところです。イマージってまず『まちを元気にしたい』ってところから考えているんです。お店をつくったり、グラフィックで印刷物つくったり看板つくったりするのはそのための手段で、ひとつひとつの仕事が全て『まち』の活性化に繋がっていく。そういう想いを持った会社なら面白いことができそうだなと思ったんです」(久村さん)

自分の住む『まち』をつくる仕事

地方でも面白い仕事を。そんな気持ちで移住してきた久村さんは、働きはじめると地方だからこその仕事の面白さがあることに気づいたといいます。

「地方の仕事って経営者との距離が近いんです。東京だと大きな会社も多いので、仕事をするときも相手はその仕事の担当者さん。だけど、ここでは打ち合わせに経営者の方が出てくる事も多いんですよね。それって僕は大きなメリットだと思うんです。経営者が考えていることもよくわかるし、熱量もダイレクトに伝わってくる」(久村さん)

距離が近いのは経営者だけではありません。久村さんは「仕事が自分の暮らしとも近い」と話します。

「たとえば東京だと、自分の住んでいる街と会社のある街って別の街という感覚じゃないですか。でも、地方だと住んでるところや働くところも含めて自分の生活圏という感覚なんです。だから、どこのお店づくりを手伝っても『自分のまちをつくっている』という感覚がある。仕事を通して自分の生活圏を変えていくことができる。この感覚は都会とは圧倒的に違いますね」(久村さん)

缶ビール片手に話した住宅事業立ち上げ

面白い仕事を、という気持ちは会社に新しい事業を立ち上げるきっかけになりました。

久村さんが入社した当時、イマージは店舗やオフィスをメインに設計・施工する会社でした。そんな会社で久村さんは新たに住宅事業をスタートさせます。しかも、その提案をしたのは入社して3〜4か月くらいのころだったといいます。

社長も驚いたという新規事業立ち上げの話。きっかけは建築関係の研修会でした。

「たまたま住宅関係の研修会に行くことがあったんです。なんの研修かもよく分からず今の会長に連れられて行ったんですけど、そこでゲストスピーカーとして登壇したハウスビルダーさんの話を聞いたら『家づくりってこんなに楽しいことなんだ!』って」(久村さん)

そのとき講演した会社は、ひとりひとりの考えやライフスタイルに合わせてプランをつくり、いい素材を使って長く安心して住んでもらえる家を建てるという特徴を持ったところでした。

「その会社はデザインや素材も当然こだわってるんですけど、なかでも大事にしてるのがホスピタリティなんです。家って人生で一番高い買い物じゃないですか。でも住宅業界って意外とホスピタリティって面ではホテルやレストランに劣る事も多くて。住宅って何千万円もかかるのにそんなに親切ともいえないし、建てたらそれで終わりって感じだったり。 家づくりを何からはじめたらいいか分からないという人と、二人三脚で家づくりをナビゲートしていってくれる住宅会社って魅力的だなと思ったんです」(久村さん)

家づくりの面白さに気づいた久村さんは、その日の晩には、いっしょに研修会に行っていた会長に話をしていました。

「家を建てるって図面を描けるのももちろん大事だけどそれだけじゃないんだなって。お店のことを考えて設計するのと同じように、住む人ひとりひとりのことを考えてサポートしていくホスピタリティも大事なんだって思ったら自分もやってみたい!って思って。それでその日の晩に缶ビールを買って会長が泊まってるホテルの部屋に行ったんです。それで、飲みながら会長に『僕、住宅やりたいです』って話してました(笑)」(久村さん)

缶ビール片手に会長と新規事業の話。しかも、入社して数か月ほど、住宅未経験の新人がです。首都圏の大企業ではなかなか考えられないシチュエーションですが、そんな久村さんの話に会長も「おお、いいよな! 住宅、楽しそうだよ」と大いに盛り上がり、賛成してくれました。こういう関係も、地方ならではといえるかもしれません。

もちろん実際に事業を立ち上げるとなったら「楽しそう」だけではできません。誰がどのようにやるのか、本当にできるのかという迷いも会社にはやはりありました。そんななかで新事業立ち上げを後押ししたのは久村さんが「僕がやります」といったこと。久村さんの「やりたい」という気持ちが決め手となり、住宅事業が立ち上がりました。

「怖い人たち」は本当は奥手なだけだった

地方へ移住して新しい仕事の楽しさに出会った久村さんですが、プライベートでも地方ならではの関係を楽しんでいるといいます。

「地方ではほぼ地区ごとの自治会があって都会のそれよりも確固たる組織なんですね。うちの場合は子どももいたし、当然入るものだと思っていたので引っ越してきてすぐ挨拶に行きました。入区が認められた後の全体会合で、区の人たちがずらっと並んでる前で自己紹介をしたんですけど、みんな難しい顔で黙っていて、すごい空気だなって(笑)。最初は歓迎されてないのかと思いました」(久村さん)

大変なところに来たなと思った久村さんでしたが、実はそれが拒絶ではなかったことにしばらくして気づいたそうです。

「気づいたのは、区のイベントに参加して、飲み会に出たときですね。お酒を飲むとみんなすごい話しかけてくるんです。皆さん奥手なんだなって。本当はいろいろ話したいし、聞きたいこともあるんだけど、なかなか話しかけられない。でもお酒の席ではフランクになれるんです。遠巻きにしてると相手もなかなか距離を詰められないんですけど、こちらから入っていくとちゃんと迎えてくれるんだって気づきました」(久村さん)

そして運よく、移住した年に諏訪地域の大祭「御柱祭」があって、準備から本番まで顔合わせの機会が多かったことが地区に早く溶け込むきっかけになりましたし、さらに踏み込んで有志の地区行事にも参加するようになりました。

「早起き野球っていうのがあるんですよ。区ごとにチームをつくってて、総当たりでリーグ戦をやっていくんですけど、名前のとおり平日の早朝にやるんです。それこそ朝5時とか、日の出の頃からやってますよ。秋は暗くて何も見えないから日の出を待ったり、朝日が眩しくてボールが見えなかったりなんてこともあります(笑)。これも移住しなければ絶対経験しなかったと思います」(久村さん)

働くことと暮らすことの距離が近い

面白いのは、そうした地域の人間関係が、仕事の人間関係とも密接なこと。勤めている会社が地元密着だから知っている人も多く、「イマージに勤めています」といえば「ああ、あそこか!」という会話につながることも多いといいます。逆に地域で生まれたつながりから、仕事につながることも。働くことと暮らすことの距離も近いのが地方ならではなのです。

また、自宅を建てたのも仕事にいい影響を与えました。

「このあたりに住むってことはいずれ家を建てることになるだろうって思っていたので、いい土地が見つかったときに家を建てました。住宅事業もスタートしていたので、もちろん自分の部署の仕事として建てたんですが、自分で建てることでいろんなことに実感が持てるようになったんですよね。建材や断熱材ひとつとってもそれぞれに良さがある。自分で建てたことでお客さんに話をするときも例えば『この断熱材、本当に暖かいんです!』って実感を持っていえるようになった」(久村さん)

働くことと暮らすことが混ざり合うような生活。久村さんはここで、東京ではなかった面白さを感じています。

COMPANY INFO 久村周一さんの働いている会社

株式会社 イマージ

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