八ヶ岳Work&Life

自分が一番楽しめるのは何だろうって考えたら、ビールだったんです。

山岸勇太さん

2020年4月入社

八ヶ岳の裾野で日々ビール造り

朝8時からスタートし、1日がかりで約600本分のビールを仕込む。エイトピークスで働く山岸勇太さんは今、そんなふうにビールと向き合う毎日を送っています。

エイトピークスは2018年に生まれた新しいブルワリー。かつてホップの一大生産地だった八ヶ岳西麓で、八ヶ岳だからこそおいしく豊かな体験ができるクラフトビールをつくることをめざして誕生しました。

昨年2020年に入社した山岸さんは、その社員第一号で、現在醸造担当として日々ビールをつくっています。大きなビール会社に比べれば工場は小さく、施設もあるものでつくった手づくりのものが中心。忙しく、みんなで知恵を絞りながらのビール造りですが、山岸さんは「楽しませてもらってます」と笑います。

自分が楽しめるものって何だろうと考えたとき浮かんだのがビールだった山岸さんがビールの世界に興味を持ったのは大学時代でした。

「それまでビールといったら大手のものくらいしか知らなかったんですが、あるとき大学の近くにあるお店で初めてクラフトビールを飲んだんです。いわゆるIPAって呼ばれるビールだったんですが、ホップが効いていて、香りや苦みが強く、それまで飲んできたビールとはインパクトがまるで別物だった。『こんな面白いものがあるんだ!』って思ったんです」(山岸さん)

今まで知らなかったビールの世界に興味を持った山岸さんは、クラフトビールの会社やビールの製造工程を調べるようになりました。

そのときはあくまで自分の興味を追っただけでしたが、就活の時期を迎えたとき、改めてビールのことが頭に浮かんだといいます。

「もともとは公務員になるつもりだったんです。安定しているし、時間もあるイメージだったから。でも、仕事内容を考えていったとき、それだけじゃつまらないなって思ったんです。じゃあ、自分がこれまで一番楽しんできたことは何だろうと考えたら、ビールだった。ビール造りなら絶対楽しめるなって」(山岸さん)

なかでも気になったのはエイトピークスでした。

「ビールの造り手を調べているときに出会ったんですが、八ヶ岳という場所でビールをつくるという明確なビジョンがあるのがいいなと思っていたんです。立ち上げた齋藤さんとも交流があったので、思い切って連絡してみたらすぐ折り返しがあって。僕はものすごく緊張して心臓がバクバクいってたんですけど、『働かせてもらえませんか』っていったら、それまでの交流もあってか即答で『いいよ』って(笑)」(山岸さん)

レシピ考案から醸造まで全部関われる

「楽しいだろう」と思って飛び込んだエイトピークス。実際に入ってみると思った以上に山岸さんにとってワクワクする職場でした。

「エイトピークスって規模も小さいので、ビールのレシピづくりから実際の醸造作業まで全部関われるんです。工程ひとつひとつを見て、『今度はこうしてみたらどうだろう』という工夫もしやすい。そうやってできあがったときの嬉しさもすごいです」(山岸さん)

大手の場合、レシピ作成や醸造ひとつひとつの作業など、部門ごとに分かれているのが一般的。ひとりが関われるのは基本的にビール造りの一部ということになります。分業して専門化しているからこそのメリットももちろんありますが、一貫して醸造に関われる面白さは小規模ブルワリーならではの魅力です。

「それに規模が小さいから、工夫やチャレンジもしやすい。新しいビールをつくるとなったら、みんなで方向性を考えていくんですが、僕もいろいろアイディアを出せる。それだけじゃなく、実は同じ銘柄のビールでも、レシピは細かく改良していたりするんです。そこでも『こうした方がいいんじゃないか』って提案することができる」(山岸さん)

なかでも、近くにあるキャンプ・キャビン泊施設のTINY GARDEN 蓼科とのコラボレーションでつくった「GARDEN ALE(ガーデンエール)」は、達成感が大きかったといいます。このビールは、「キャンプ場で飲みたい最初の一杯」というコンセプトのもと、ビールやアウトドアの愛好家が参加するワークショップを通じてできあがったものです。

「ホップをたくさん使って華やかでインパクトのある味にする、いわゆるIPAと呼ばれるタイプのビールになったんですが、エイトピークスでIPAをつくるのはほぼ初めてだったので、正直ビビってました。でも、僕自身が最初にビールを面白いと思ったきっかけもIPAだし、つくってみたいという気持ちも強かった」(山岸さん)

IPAのようにホップを大量に使うビールは酸化しやすく、品質管理が難しくなります。さらに、さまざまなホップをどれくらい、どんなバランスで入れるかによっても味は大きく変わる。初めてのIPAはエイトピークスにとってもチャレンジでした。

「一度つくると『これを入れるとこうなるだろう』っていうのが肌感でわかるようになるんですが、初めてだったので本当に試行錯誤でした。試作しながらつくっていったので、できあがったときは本当に嬉しかったですね」(山岸さん)

つくって、飲んで、またつくる、その繰り返し

調べて、実際につくって、その経験からまた新しいものをつくる。山岸さんはもともとそんな試行錯誤が好きなタイプでもありました。

「凝り性なんでしょうね。昔からテーブルとかちょっとした家具をつくったりするのも好きだったし、大学に入ってからは料理も好きになりました。料理もつくって、食べて、また工夫してっていうのが面白いじゃないですか。だんだんハマっていって、ひとり暮らしなのにフライパンをたくさん持ってたりしました(笑)」(山岸さん)

今ハマっているのは燻製。燻す素材やチップ、時間などによって風味や味わいも変わる、奥の深い世界です。

「ビールって、早ければ仕込みから1か月くらいでできる。すごく回転が速いお酒なんです。だから、どんどん試してどんどんチャレンジできる。仮説を立てて実践するのが好きなタイプにはたまらないです」(山岸さん)

また、長い歴史を持ちつつ、今も日々進化する飲み物であるのも魅力だといいます。

「ドイツのように伝統的な製法をすごく大事にする国もある一方で、今までなかった発想でつくられるビールもたくさんある。IPAもそのひとつですよね。僕らの今やっているつくり方も100%正解とは限らない。もっといいやり方や面白いものができるかもしれないんです」(山岸さん)

反対していた父も「いいところに就職したな」

仕事から広がった交友関係もあります。エイトピークスのビールの卸先であるTINY GARDEN 蓼科には、イベントを通じて意気投合した友人が。

そんな友人との雑談から、クージーと呼ばれるボトルホルダーをオリジナルデザインからつくることになったりもしました。

「最初はイベントで知り合ったんですが、ふたりともビールのあるシーンっていうのが好きなんですよね。話してるうちに『ビールのある場面を楽しくするものがあったらいいよね』って話で盛り上がって、実際に商品にまでしちゃったんです」(山岸さん)

取材に行った日も「次はいっしょにこんなビールできないですかね?」といった話で盛り上がっていたふたり。単なるメーカーと卸先という関係を超えて、楽しいと思うことでつながっており、次々と新しいアイディアが生まれています。

仕事もプライベートも連動するように楽しむ様子は周りにも伝わります。

「実は就活のとき、父にビール造りをしたいっていったらすごく反対されたんです。もともと公務員になるっていってましたからね(笑)。いきなりベンチャーみたいなところにっていうのは驚きもあったんでしょう。でも、実際に働きはじめたら『お前、いいところに就職できたな』っていわれるようになりました」(山岸さん)

何十キロもある麦芽を持ったり、自分の手で麦汁をかき混ぜたり、体力的にも厳しいビール造りですが、どの作業でも印象に残るのは山岸さんの笑顔。エイトピークスで働く楽しさは、その表情に出ていました。

COMPANY INFO 山岸勇太さんの働いている会社

株式会社 エイトピークス

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